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アセット作家インタビュー「Arbor 2」by ケットシーウェア

執筆者:一條貴彰
2017.09.06

日々公開されているUnity向けアセット。それはどんな人がどんな思いを込めて作られているのでしょうか。
アセットを作り、販売している「人」にフォーカスし、アセット作家様を応援する企画「アセット作家インタビュー」、今回はUnityで簡単にステートマシンでの状態制御を導入できる「Arbor 2」の作者、ケットシーウェアさんにお話を伺いました。

インタビュー:ケットシーウェア様 @caitsithware ケットシーウェアさま
聞き手:株式会社ヘッドハイ 一條貴彰

Arbor 2アセットストアページ
https://www.assetstore.unity3d.com/jp/#!/content/17883

「Arbor 2」公式サイト
http://caitsithware.com/wordpress/

「Arbor 2」とは?

――本アセットの概要についてお教えください。

Arbor 2はUnityで有限ステートマシン(FSM)を組めるエディタ拡張アセットです。
FSMとは、敵のAIなど、いろいろな挙動の状態があり分岐&遷移していくような状態管理(うろうろする→プレイヤー見つけたら追いかける、など)に適したロジックです。

「Arbor 2」には初めから組み込まれている挙動の状態が100点以上ありますが、さらにユーザーさんご自身でスクリプトを書いて追加できるのが最大の特徴となっています。
スクリプトの中身はほぼMonoBehaviourと同じようにしていますので、書き方を追加で覚える必要があまりなく、すんなり導入できるのではないかと思います。

詳しい使い方などはサイトにまとめてあります。よろしければこちらもご覧になってください。
Arbor 2公式サイト

――最近の機能追加、改良などについてお教えください。

最近の追加では、特にデバッグ機能の強化を行っていました。たとえばプレイ中にステート遷移した回数を表示したり、ステートにブレークポイントを付けて通過した際にポーズしたり、エディタから直接遷移させたりといった感じです。エディタから視覚的にもデバッグできるのでより便利にお使いいただけると思います。

幅広い「Arbor 2」の利用者層

――公開できるユーザーさんの利用事例がありましたら、お教えください。

まず挙げられるのが「ららマジ」です。このタイトルはUnite 2017 Japanでも利用事例の紹介があり、多くの方に知っていただけました。コチラの発表はスライドや動画が公開されています。
スライド

「ららマジ」はキャラも全員かわいいのでぜひぜひプレイもしてみてくださいね。
ららマジ公式サイト

ほかにもインディーや個人開発者さんにも多く使っていただいています。
たとえば、unityroomさんで開催されている「Unity 1週間ゲームジャム」でも使用していただいた作品があります。
Unity 1週間ゲームジャム

Unity1週間ゲームジャム

6月に行われたお題「積む」でのArbor使用作品集

また、Twitterでは #madewitharbor のハッシュタグでツイートしていただくように呼び掛けていますので、こちらもぜひご覧になってください。
#madewitharbor

――今後はどんなゲーム開発者さんに使ってほしいですか?

プログラミング初心者でこれから覚えていきたい方にも使っていただきたいですね。
「Arbor 2」の真価を発揮するにはちょっとしたスクリプトも書くのが一番なのですが、なるべく小さいスクリプトで使いまわしを意識するのはとても勉強になるかと思います。

――アセットを買ったみなさんにメッセージはありますか。

まずは、ご購入ありがとうございます! 利用に関して質問や要望などがありましたらフォーラムもありますので、遠慮なく書き込んでくださいね。
フォーラム

よりよいアセットにしていきたいので、サポートも頑張っています!

――アセットを買おうか考え中で、この記事を読んでいる人にメッセージはありますか。

試用版がありますのでとりあえず触ってみてください!Unityエディタ上で使用する分には制限がないので、チュートリアルも一通りできるようになっています。
試用版
チュートリアル

――今後追加予定の機能はありますか。

確約はできませんが、Behaviour Treeには興味があるのでいずれ導入してみたいと思っています。それにあわせて、FSM内に子FSMも持てるようなサブFSMや、プレハブを使用したFSMの共有なども導入したいです。
あと、いろいろなアセットに対応したアドオンなども作りたいですね。セーブ機能や各種コントローラー対応などなど、良いアセットもたくさんありますので連動できるといいなーと常々思っています。
もちろん、誰でもスクリプト拡張できますので、アセット開発に興味のある方はアドオンを作ってアセットストアに公開してみる、というのも良いかもしれません。

「Arbor 2」誕生のきっかけと今後の展開

――アセットを作りはじめたきっかけは何でしたか。

初めはちょっとしたシューティングゲームを作ろうとしていたのですが、デザインパターンのステートパターンでの状態管理だけでは限界を感じており「どうせならエディタでGUIを使って組めるようにしてみよう!」と思って作り始めたのがきっかけです。
細かなパラメータの調整もエディタでできるので、自分でも作ってよかったと思っています。

――アセットを作るにあたって、特にこだわった点、苦労した点はどこでしたか。

アセットストアに公開して多くの方に使っていただくようにする、というのが一番のこだわった部分であり苦労した点でもあります。
なるべくゲームロジックそのものには侵食しないように汎用的な作りにして拡張性が高い、というのは思った以上に大変でした。
とくにUndo/RedoやPrefab化などUnity内の機能との折り合いが難しく、Unityがアップデートされるたびにどこか動かなくなるのではと心配で毎回ドキドキです。

――今後はどのようなアセットを開発したいと考えていますか。

Unityエディタ上で作曲できるアセットも作ってみたりしています。
まだ試作レベルで放置中ですが、Arbor 2の開発などが落ち着いたら再開したいですね。

――その他、アピールしたいことがあればお教えください。

Arbor 2のほかに2Dタイルマップエディタ「Nostalgia」もアセットストアにて販売しています。
よくあるオートタイル規格に対応していますのでインターネットでの素材も活用できます。
興味がありましたら一度ご覧になってみてくださいね。
Nostalgia公式サイト

Nostalgia2アセットストアページ

Unity 1週間ゲームジャムの7月のお題「夏」にも参加していますので、こちらもよかったら遊んでみてください。
(もちろん「Arbor 2」を使っています)
お題「夏」参加作品 SUMMER TRIP

Arborを初めて公開したのが2014年5月でもう3年が経ちました。
おかげさまでたくさんの人に使っていただき、開発を続けてきた甲斐がありました。今後ともArbor 2をよろしくお願いいたします!

この記事を書いた人

一條貴彰

一條貴彰株式会社ヘッドハイ 代表取締役

ゲーム作家・Game DevRel。小規模ゲーム開発者がもっと活躍できる世の中作りを目指して、ゲーム開発ツール・サービス専門のDeveloper Relation事業を行っています。ゲーム作家としての代表作は『Back in 1995』(Steam)。